―あとがき―
さて、わりと長いようで短いようなエデンの鍵という企画がその開催期間に終わりを告げた。
その終わりの日から遅れること約二十日、私の作り出したキャラであるレヴィの区切りを告げる作品も書きあがった。
そこで、今までの作品を解説という形で振り返りつつ、あとがきとしてみたい。
それぞれの作品をどのような経緯と思いで書いたのか、自己満足なところがほとんどだが、まとめることで私のエデンに区切りをつけようと思う。
まあ、今後もエデン関係の作品を書くことはないわけじゃないと思うのだけど。
一応の区切りである。
では、各作品を振り返ってみよう。
なお、作中の登場人物の名前はお借りしたキャラクターも含めて敬称を省略してお送りする。
【レヴィのある日】
記念すべき最初の作品。
内容はもちろん、”ダッフル”レヴィという人物像を描くこと。
つまりは顔見せの紹介編であった。
実は私の小説の書き方の大元になっているちょっとした話があり、それに基づいた構成の一旦となっている。
私が尊敬するクリエイターの方から聞いた話だが、もうかなりの昔に出版された本で、小説の書き方をまとめた本があるのだそうだ。
それも三文小説の書き方である。
その中の一説で、《主人公は、朝起きて顔を剃る》というのがあるそうな。
これはつまり、主人公の見た目など、イメージに必要な情報をまず書き出して、読者の主人公像を固めるというものだ。
つまるところ、この『レヴィのある日』という作品は、レヴィという人物のイメージをまず決定付けておこうと画策したものである。
そのために彼の人物像、そしてリーンとの関係をストーリーに置き換えて表現しようという動機で書いたものだった。
結果としてうまくいったかは私自身としてはわからない。
私の判断基準として、物事の良いか悪いかは自分で決めるものではないというものがあるからだ。
しかし、リーンの生みの親であるゆうなさんからはお褒め頂き、偶然目を通してくれたエデン参加者のミコトさんからもコメントをいただけたので悪くはなかったのではないかと思っている。
今読み返すとリーンがレヴィを《レヴィさん》と呼ぶところがあったり、初期原稿らしくて微笑ましい(笑)。
ちなみにゲストのエイミだが、このネーミングはその場の思いつきで必要になった瞬間適当に打ち込んだものがそのまま採用となっている。
この時からネーミングの適当さは一貫していることがわかる。
【美食倶楽部、戦う】
執筆二話目にして早くもギャグ作品という、私の本性を現したかのような作品。
動機は単純にギャグが書きたかった(笑)
その上で、レヴィの周りにいる主要なキャラの位置関係を描こうと思っていた。
だが、これは目論みとしては失敗に終わる。
プルウィアとファンクの作者様は、その後エデンから離れていってしまったためだ。
こういうことは企画物ではよくあることだ。とりあえず作品自体はギャグ作品として単体で受け入れられていたようなのでよしとしようと考えた。
この作品一番の見所はやはりマッチョバーガーである。
宣言してしまうが、私はマッチョネタがたまらなく好きだ。
作家活動をしていない、少年時代の頃からずっとマッチョネタが好きである。
なのでこのようなネタは嬉々として書き上げている。
ちなみに、この作品に出てきた《ここはマッチョバーガー。寂れた都会に潤いと癒しを与えるバーガーチェーン。暑苦しい風とうっとおしい水を提供する都会のオアシス》という一文はとても気に入っていたりする。
その後、マッチョバーガーの店長に名前を与えて正式にエデンに参加させようかとまで考えたが、最後の理性でそれをおしとどめるに成功したことを付け加えておく。
決してキャラクターの投稿期間が終わってしまったせいではない。
【夢】
レヴィを語る上で重要なキャラクターの二人目であるジュジュが出てくる話。
ちなみに重要キャラクターの一人目はもちろんリーン。
私の作品を追っている方に、今後ジュジュが出てきてもスムーズに受け入れられるよう、その準備として書いた作品。
ジュジュとの過去を描くことでジュジュとレヴィの関係性に言及している。
私のエデン作品のスタンスとして、レヴィの心理描写を、完璧にではないが、しないというものがある。
レヴィの心理は半分以上壊れているので、レヴィから書くのではなく、周りの人物たちの心理から世界を構成するという試みだ。
この作品はその試みがもっとも顕著に出ていると私は思っている。
ジュジュとの関係は、なんとなくレヴィの軍学校関係で絡める人がいたら面白いかと思い立った私がぼけっと募集していたら、ジュジュの作者であるひーらぎさんが乗ってきてくれたというものである。
その関係性はひーらぎさんと話し合って決めたものではあるが、この作品を書いているときに、なるべくここでひーらぎさんの心を捉えて今後につなげようと画策していたという事実がある(笑)。
結果としてひーらぎさんにはレヴィを最後まで使っていただいてありがたい話である。
【夢の形】
作品の動機は、私が酒を飲みたかったから。以上。
ぶっちゃけそれ以上でもそれ以下でもない(笑)。
アニュスと絡ませたのはツイッターのタイムラインで、アニュスの作者である未音さんと仲良くなったからで、そんなに深いことをこの時点では考えていなかった。
その後、アニュスとレヴィは意外にも付き合いが長いという設定が発覚するような形で浮き上がり、やや重要なポストを未音さんから任されるのだが、この時点ではそいうことはさっぱりであった。
冒頭のポーカーだが、私の知識はドリームキャストのゲームソフト『サクラ大戦3』しかない(笑)
このゲームのおまけモードの賭け事系のミニゲームは非常によくできていてお勧めである。私はポーカーとブラックジャックだけで一日遊んでいた。
そして、いい加減古いゲームなので、薄れた記憶を掘り起こして書いたのが冒頭のこのシーンである。
『BAR
Quiet』はもともとエデンの企画内企画で立ち上がった『居酒屋でわいわい企画』というもので設定されていたものである。
であるのだが、私以外にそれを書き起こそうという動きが(私の知る限りでは)なかったので、私が勝手に描写しまくっている(笑)。
モデルとなったのは私が懇意にしている実在するバーである。
作中に登場する『マエストロ・伊庭のジャーキー』も、生産者の名前が違うだけで実はそのバーに実在する(笑)。
レヴィのIPAを飲みながらジューシーなジャーキーを齧るというスタイルは、私のやっていることそのものである。
アニュスとレヴィのやり取りで、《アニュスに何かあったら、その酒コレクションがレヴィのもとに来る》という設定は、ツイッターで未音さんと会話している中でぽろっと出てきたものだ。
そういう会話を無駄に作中に取り入れるのは私のいやらしい趣味だろうと思う(笑)。
ちなみにこの作品で登場したスカイダイビングというカクテルは後の作品で意味もなく再び登場してしまい、私の適当さ加減を物語っている。
【湯気の向こうに先は見えるか】
銭湯の話である。
だが、脱いでいるのは男四人で女性は番頭が一人という、サービス精神の欠片もない作品である。
二作品まじめに書いたので、もうギャグでいいよねという精神が書き上げた一品。
ユンファが投稿された時に、「銭湯があるのか! 絶対行こう!」と思ったのだが、ユンファの作者の染井さんに先手を打たれ、レヴィが銭湯に行く話を先んじて書かれてしまったので、そのお返しでもあった。
この当時、ツイッターではエデン参加者が、「負けた組織はどうなるのか?」という話題を話していたので、そこに焦点を当てて書いてみた。
この作品では、私にしては珍しく四人もキャラクターを借りている。
ユンファは交流で先手を打ってもらったのでそのお返し。黒狸は作者のミコトさんが『レヴィのある日』のときにコメントをくれたのでそのお返しのつもり。そういう理由がある。
しかし、残りの二人の環とファウストに関しては、ただなんとなく目に付いたからである。
作者のたまがわさんとしょーさんには大変申し訳がない(笑)。
ただ、この二人に目がとまった瞬間に、洗い場におけるしょーもないネタは浮かんできたので、お二人のおかげである。感謝感謝。
ちなみにコーヒー牛乳とフルーツ牛乳のネタだが、もともとこれは染井さんが書いた話が元になっている。
あちらで書いていただいた話でレヴィが騙されて(笑)この二つの牛乳を知るに至るので、それを利用させていただいた。
ちなみに三助とは、銭湯で風呂焚きや背中流しをするサービスマンのことである。
【嗚呼、チェリー】
公式二回戦の話である。
二回戦の話である。
重要なことなので二回言ってみた。
公式一回戦はどうしたのかというと、何をしようか迷っている間に過ぎ去っていた(笑)
いろいろとネタは考えてみたのだが、そもレヴィというキャラのスタンスと能力ゆえに、リスを捕まえるというネタが浮かびにくかったというのが敗因ではあった。
ギルドにモブキャラを設定し、レヴィが襲ってそのキャラの稼いだ星を奪うという話も考えていたのだが、無駄にいろいろ考えすぎて結局やらなかった。
ちなみにそのモブキャラの名前は『モブ子ちゃん』。可愛いんだけどクソの役にも立たないという設定だった。あんまりである(笑)。
さて、二回戦の話であるが。
この作品はほぼタイトルから決まった作品である。
つまり、スロットネタがまず浮かんで、そこから話を広げるに至ったという経緯だ。
我ながら最低である(笑)。
実は二回戦はこの作品の直後の時間軸として、ひーらぎさんにジュジュとレヴィが再会する話を書いてもらっている。
私がこの作品に取り掛かるよりも先にひーらぎさんがそれを書くということが決まっており、私は後からその直前の時間軸を書こうと思い至ったのだ。
投稿順番としては私が早書きな暇人ということもあって、この作品のほうが先に投稿されている。
その関係もあって、この作品の最後はレヴィがジュジュに会いやすいように一人になっている。
後に出来上がったひーらぎさんの作品を見ると、リーンと一緒の所にジュジュが現れるという流れになっており、その出来がとてもすばらしいのでそれでよかったなあと思ったものである。
ところで、作中にでてきてレヴィにスカーフを渡す謎の美女なのだが、この招待は紅狼さんのキャラであるキリシュの女装した姿である。
ツイッターのリプライでレヴィが震えて動けなくなるというネタを私が出したとき、紅狼さんがキリシュがスカーフをくれるといったのでこの流れを作った。
私の考えとしては、この後の作品でスカーフを返す話を挟もうと思っていたのだが、なんだかんだ上手く機会をつかめないうちにエデンは終わってしまった。
今後無駄に書けるようなら書いてもいいとは思っている。
【LIVE:生きる】
シエルテ精華祭の話である。
この話はジュジュとの再会を経て、困惑したレヴィがリーンのおかげで立ち直り、今後の行動方針を固めるというレヴィにとっての転機である重要な話だ。
なので、全編シリアスなのだが、やっぱりところどころにギャグが欲しくて結局入れてしまった。
カフェバー『ホットチョット』はちょっぴりお気に入りである(笑)。
私は実の所、文章よりも絵のほうが経験が長い人間なので、挿絵を入れてみようとやってみた。
これのおかげでゆうなさんを感動させることが出来たのであるが、それでも絵よりも文章の流れがそうさせたのだと思う。
やはり絵は難しい。
文章も難しいが、個人的には絵のほうが難しさは大きく感じる。私の向き不向きなのかもしれない。
この話からレヴィが本格的に動き出しているのだが、それに伴い話に絡んでくる人様のキャラクターの動きを大きく私の方で作る傾向が出てきている。
核心に迫る話である以上ある程度は仕方ないというのもあるのだが、私の場合自由にやりすぎるので確認をお願いするときは、いつも作品そのものをボツにされる覚悟だったりする。
ちなみに、この作品の各となるリーンの歌には歌詞がついているが、実はこれ、モデルとなった曲が存在する。
私は音楽の才能も経験も乏しいので、イメージに合う曲をモデルに歌詞を自作したというわけである。
モデルにしたのはプリス・アサギリ(須藤あきら)さんの雨である。
アニメ『バブルガムクライシスTOKYO2040』の企画として作られたこの曲が、実は私は結構好きである。
今回の話に使えるなと思ったのでモデルとさせてもらった。
【とける過去、動き出す今。マーブルの空と、二人の未来】
公式三回戦。ジュジュとレヴィの個人戦である。
ジュジュにとってもレヴィにとっても、物語の最重要ポイントといえる所であり、書き上げてから自分でがんばったなあと思った作品である。
ここまで作品を書いてきて、初めての戦闘描写である。
実は私は、戦闘描写が好きだ。
ギャグのほうが力を抜いて書けるのでよく書くのだが、戦闘の描写で読む人間に驚きを与えるのが好きである。
本来はこの作品の前に、諸事情でボツにして未発表の作品の中で戦闘描写があったのだが、発表した作品としてはこれが初戦闘シーンである。
この戦闘シーンはわりと読んだ方から反響を頂いたので、感謝すると共に満足している。
レヴィの異能であるフードファイターの描写は、廃棄物を怪力で投げつけるということに関してはこの作品を書くに当たって考えたアイデアである。
だが、実の所『甘露煮ーメイト』ネタは企画開始当初から暖めていた。
いつか戦闘中に『甘露煮ーメイト』を食べて戦う描写をしようとずっと心に決めていたのだ。
そもそも、『甘露煮ーメイト』の初出は企画開始当初のツイッター上のなりきりチャットだった。
そこでネタとして登場させたのが『甘露煮ーメイト』であり、その時点でもうすでに後の作品で戦闘描写に使うことは決めていた。
自分でも恐ろしく馬鹿な話だと思う(笑)。
この作品ではジュジュの性格的な部分の描写で少し修正などがあったのだが、最終的にひーらぎさんのジュジュ像と私の演出の折衷案という形で書き上げている。
本来ジュジュはもっと冷静であるというひーらぎさんのジュジュ像なのだが、このターニングポイントで始終冷静というのは面白くないと私は思ったのだ。
冷静でもショックを受けるとか、そういう書き方はいくらでも出来る。
しかし、イメージとして頭に浮かべたとき、キャラクターの絵がショックを受けていたほうが演出としてはやはり勝る。
ジュジュという冷静なキャラクターがそれだけ動揺したという事実を作り出せる。
それゆえに衝撃を受けたところではわざと冷静さを崩す描写にした。
もちろんひーらぎさんの、演出優先でもいいという言葉はあったとはいえ、やや強引ではあったと思う。
このあたりは交流企画の難しさだと思うことしきりだ。
まあ、そういう意味でも私は自由に書きすぎているとは思うのだが(苦笑)。
【真夏の獣】
ギャグである。以上。
ぶっちゃけメインの内容にはそれ以上突っ込む所がない(笑)。
とにかくギャグが書きたくて、番外編のイベントだしギャグだよここはと勝手に思いついて書いたものだ。
その目論みはわりと成功したらしく、読んだ方にはことごとく笑っていただけているようだった。
ギャグ以外で重要なのはアニュスの話だ。
この話は番外編ではあるものの、アニュスがレヴィの言葉を聞いて家族を探す決意をするという描写が入っている。
これはツイッターでアニュスの作者の未音さんと打ち合わせた内容であり、これを機にアニュスが行動の動機をもつという流れだ。
ぶっちゃけたはなしツイッターで困っていた未音さんに、ならばと私から申し出たのであるが、自分のキャラが人のキャラに深くかめるというのはやはりいいものだ。
未音さんからはツイッターで感謝されたが、私こそ未音さんに感謝したい。
アニュスとレヴィの付き合いが思ったよりも長く、わりといいコンビというのもにわかに発覚した時期だったので少しそのあたりを入れ込んでいる。
【苦く楽しく、いとおしく】
エデンの鍵という企画におけるレヴィの〆として書いた作品。
事実上の最終回である。
これから先もレヴィというキャラクターをシエル・ロアという舞台で書くことはあるかもしれない。
だが、企画が終わった以上けじめはつけたくて書き上げたものである。
本来ならゲーム本編の第四回戦を描写するのが一番盛り上がるものだ。他の作者も皆そうしている。
だが、実は個人的に四回戦は納得いかないのであえて四回戦ではない描写にした。
あくまで個人の考えに過ぎないが、トラウマとの対決というテーマは他人に強制されるものではないと思ったのだ。
書くテーマは作者が決めるものだ。トラウマとの対決というテーマを全ての作者が全てのキャラクターに用意する必要はない。
ましてそれは他人に強制されるものではないと、私は思ったのだ。
確かに盛り上がる要素だが、内容を固定されるようなテーマの設定はあまり個人としては受け入れられなかった。
それゆえに一応四回戦に出場して締めくくるという内容も、アイデアは考えてみたが、あえてボツにした。
少々無駄な反骨心のようでもあるが、こういうところは譲らない方がいい。私はそう考えている。
で、この話の内容はレヴィの現在の確認という形を使った。
レヴィが現在何を考えて、その心理はどういうものかを表す。
それによって一話のレヴィとどこまで変化が出来たのかを表して終わらせるという形だ。
ゆうなさんは結局期間中にはリーンの作品を作ることは出来なかったが、私としてはそれでも満足している。
リーンというキャラがいたからこそここまで書き続けることも、レヴィというキャラクターを成長させることもできた。
確実に一つの物語を作り上げることは出来たのであり、私は達成感を感じている。
それでいいと思う。
ゆうなさんには感謝しきりである。
もちろん今まで絡ませてもらった方々、企画を提供してくれた企画主様にも。
レヴィのストーリーは一つの作品としてここまで持ってくることができた。
それは交流してくれた方々のおかげである。
さて、これで全ての作品の解説を終わることにする。
最後に関わったすべての方にありがとうをささげて終わりたい。
リーンとジュジュの作者のゆうなさんとひーらぎさん、最後までありがとうございました。つきあってくれてありがとう。
アニュスの作者の未音さん、重要な役どころをくれてありがとう。感謝してます。
その他、交流してきたすべての方、企画主様、悩みを聞いてくれたネトゲの友人(笑)、みんなありがとう。
そしてこのブログで作品を読んでくれた方も、ありがとうございます。
2012年9月27日 ようやく涼しくなってきた夜にボン・ジョヴィ聞きながら monta
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