「おい、オッサン」

「どうした青年」

「画家になってちやほやされて暮らしてえ」

「世間の荒波にもまれて二度と浮き上がってくるな」

「ちったあ絵の描き方くらい教えろよ」

「バケツは描けるか」

「当たり前だろ」

「じゃあ宇宙戦艦描いてみろ」

「描けるか馬鹿野郎」

「バケツが描けて宇宙戦艦が描けない。それが”観察”の理論だ」

「意味わかんねえ」

「バケツは普段よく見ている。宇宙戦艦は実在しないから見ていない」

「だからなんだよ」

「知らないものは描けないということだ。観察しろ」

「ところでオッサン何してんだ」

「女の子を描くための観察」

「ケーサツ呼ぶか」


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